資料

2020年3月の帰還困難区域の状態

図は福島県のHPより転載

飯館村は大部分が解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、一部(長泥地区)に帰還困難区域がある。

南相馬市は大部分が解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、浪江町と隣接する一部に帰還困難区域がある。

川俣町の避難指示解除準備区域・居住制限区域はすべて解除されており、帰還困難区域もない。

浪江町は一部が解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、まだ町の8 割が帰還困難区域になる。

葛尾村は大部分が解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、浪江町と隣接する一部に帰還困難区域が残る。

双葉町はごく一部が解除(避難指示解除準備区域)されたが、町の大半は帰還困難区域になる。

大熊町は一部が解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、町全体の半分以上が帰還困難区域になる。

富岡町は広い範囲で解除(避難指示解除準備区域・居住制限区域)されたが、大熊町と隣接する一部に帰還困難区域がある。

楢葉町の避難指示解除準備区域・居住制限区域は解除されており、帰還困難区域もない。

川内村の避難指示解除準備区域・居住制限区域は解除されており、帰還困難区域もない。

令和元年度 原子力被災自治体における住民意向調査
調査結果(概要)から一部抜粋

世代別帰還意向
  • 帰還の意向について、世代別にみると、概ね回答者の世代が高いと「戻っている」及び「戻りたい」と回答した方の割合が高くなっている。
現在の住居形態
  • 元の自治体に戻っている方以外の現在の住居形態について、「応急仮設住宅(プレハブ型・無償)」または「応急仮設住宅(借り上げ型・無償)」と回答した方の割合は各町村で減少している。
  • 「持ち家(ご本人またはご家族所有)」と回答した方の割合は各町村で増加しており、概ね6~8割の方が持ち家を取得している。
帰還を判断するために必要な条件
  • 帰還意向において「まだ判断がつかない」と回答した方が、帰還を判断するために必要な条件として、「医療・介護等の再開」が上位である市町村が多く、その他「放射線量の状況」「商業施設の再開」「周囲の住民の帰還状況」などが上位にあげられている。
帰還しないと決めている理由
  • 帰還意向において「戻らない」と回答した方が、帰還しないと決めている理由として、「すでに生活基盤ができているから」「避難先の方が、生活利便性が高いから」「医療環境に不安があるから」などが上位にあげられている。

あとがき

2012年3月11日以降4月末から始まった連休中にようやく東日本沿岸部を訪れたときには、そのあまりにもすさまじい自然の威力にただ呆然とするばかりでした。難病の患者団体としては何をしてよいのか、何から始めればよいのか全く見当もつかず、福島第1 原発の事故さえも、自然の持つ計り知れない力の大きさとそれに比しての人の力の無力さ、無謀さに驚き茫然自失するだけでした。患者団体として何ができるのか、私たちは何をするべきかという課題に戸惑うだけでした。

厚生労働省健康局難病対策課から与えられた、三陸沿岸の難病患者・家族の手記、詩や俳句などの作品を集めてほしいという課題も、その患者・家族の消息もつかめず、市町村の役場や保健所などに協力を求めて、ようやくわずかな事例を集めることができたに過ぎませんでした。(この委託事業は2年にわたり報告集を刊行している。本書裏表紙にURL記載)。

ある日福島県の患者団体の役員の一人が私に「フクシマは風化してゆくように感じる」という言葉に矢も楯もたまらずに、原発に対する賛成も反対も問わず、まず自分の目で、肌で、東北と福島を感じてほしいと、患者仲間にツアーへの参加を呼びかけました。

すでに現地の自治体や患者さんたちを訪ねていた岩手や福島の患者団体の案内で、三陸沿岸と、原発避難地域のツアーとなりました。参加者は予定以上に多く、ようやく再開できた南相馬市のJR原ノ町駅前のホテルから私たちの毎年の定点観測ともいうべきツアーが始まりました。

最終ツアーとした2020年3月では大きく変わった復興の姿を見ることができました。しかしいまだ帰還することが許されない汚染地域の封鎖ゲートもあるのでした。

家屋は年月を経るたびに崩壊していきます。人々の生活が元に戻るということはないでしょう。その地区の小学校も中学校も一見その時のまま時間が止まっているように見えても、子供たちはそこへ戻ることはないのです。人々は少しずつ新たな生活に向かっていると感じました。しかし、歴史に学ぶということを忘れてはならない、ということも私たちは心に刻みました。

犠牲になられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。

このツアーの準備と実行を支えてくれた患者団体の皆さん、ツアーに参加くださった皆さん、そして何よりも私たちを案内し震災の恐怖と辛い経験を語ってくださった皆さんに心より感謝を申し上げます。記録集の編集にあたった皆さん、ご苦労様でした。

さて厚生労働省の難病患者サポート事業によるツアーはこれでいったん終了となりますが、私は個人として今後も訪れたいと思います。

(編集責任者 伊藤 たてお)

編集委員

  • 伊藤たてお(JPA理事)
  • 藤原 勝(前JPA理事)
  • 森 幸子(JPA理事)
  • 辻 邦夫(JPA理事)
  • 小関 理(NPO法人 宮城県患者・家族団体連絡協議会)
  • 渡邊 善広(福島県難病団体連絡協議会)
  • 矢羽々京子(一般社団法人岩手県難病・疾病団体連絡協議会 )
  • 日吉こずえ(JPA 事務局)
  • 大坪 恵太(JPA 事務局)
これまでの厚生労働省難病患者サポート事業による東日本大震災関連発行物

調査・記録事業「患者・家族のこえ事業!」
JPAのホームページからダウンロードできます。
https://nanbyo.jp/earthquake/

厚生労働省難病患者サポート事業補助金

被災地視察・患者会支援

3.11 東日本大震災&福島を肌で感じるツアー10年の記録

発行 2021年(令和3)2月10日
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA : Japan Patients Association)

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