関係者による記録

「福島」を肌で感じる

2012年6月福島県内の温泉観光地で開かれた福島県難病連の総会に参加した析、閑散とした温泉地で福島県難病連の役員やふと漏らした一言が気になりました。

「福島の復興は遠い、福島が忘れられていくように思う」と。

日本が経験したことのないような大きな地震と津波の災害の陰になって、東北、福島県で起きたことは忘れ去られていくのでしょうか。JPAは「3・11は息者団体には何ができるのかと考え続けました。現地の視察もしました。国や社会に息者たちの経験を可能な限り伝えてきました。できることは取り組んだつもりでも、現地の息者たちのつぶやきに答えるすべはあるでしょうか。

全国各地でもそれぞれの生活が優先され、福島のことは忘れられようとしているとしか思えない場面も出てきました。

今この時期に個人としての原発の稼働に賛成・反対は抜きにしても、一度福島の地に立って、自分白身の肌でその風を感じてみることは無駄でしょうか?

そんな想いからJPAは「福島」を肌で感じるツアーを企画し、2013年3月23日〜24日と2日間にわたり福島県〜宮城県を訪問しました。

〈参加者所属〉

JPA、宮城難病連、福島難病連、茨城難病連MG、京都難病連、全国筋無力症友の会、全国パーキンソン病友の会、ALS協会新潟支部、全国多発性硬化症友の会、静岡もやの会、全国腎臓病協議会、日本リウマチ友の会福島支部、日本喘息患者会連絡会、朝日新聞、㈱北海道二十一世紀総合研究所(参加者合計21名)

2013年3月23日

郡山駅出発→<国道4号線>→二本松→川俣町→<国道349号線>→南相馬市原町区→南相馬市小高区→南相馬市原町(泊)

2013年3月24日

南相馬市原町出発→相馬市松川浦→<国道6号線>→宮城県亘理郡山元町→名取市閖上地区→仙台空港→JR仙台駅

川俣町

川俣町の道の駅の裏。
線量計は0.77μSv/hを計測

飯館村

飯館村。店には車も人影もない。

飯館村。家主のいない家が並ぶ。

川俣町から南相馬市原町に向かう途中
線量計は4.274μSv/hを計測

南相馬市原町区

南相馬市小高区を案内してくださった「日本リウマチ友の会」の会員さんが言った「頑張れと言われると腹が立つ。もう頑張ってる!これ以上、どう頑張れというの…」という言葉が胸に突き刺さりました。

道の駅南相馬の向かい側にある応急仮設住宅

南相馬市小高区を案内してくださった「日本リウマチ友の会」の会員さんが入居している仮設住宅。約100戸が立ち並んでいます。入居者は「狭いけど初期の仮設住宅と比べるとかなり改善された」と言っていました。

南相馬市小高区

2012年4月に警戒区域が解除され、一時帰宅はできるようになりましたが、未だに泊まることはできません。まだあちこちに車や瓦礫が多く残っています。


  • 線量計は0.360μSv/hを計測

  • モニタリングポストが設置されている

  • 未だに撤去されず残る家屋

  • 畑の真ん中に残された車

  • 土手のまわりに残された
    車と自動販売機

  • 農耕用重機の被害も多い

  • まばらに残る防風林

  • 未だに残っている瓦礫

  • 瓦礫を積んだトラックが
    行き来している


震災前、果たしてここにはどんな風景があったのか…。


  • 道路脇にはまだ多くの瓦礫がある

  • 畑の真ん中に残された消防車

  • 瓦礫袋の山

  • 被害を受けた家屋

  • 家屋の前にはまだ瓦礫が残る

  • 引き渡し直前だった
    新築の家の住宅もある

南相馬市小高区

浪江町との境目にある牧場には悲痛な叫びを綴った看板があり、浪江町に続く道路には、関係車両以外進入禁止のバリケードがありました。ここでは線量計が9.999μSv/hで振り切れてしまい、計測できませんでした。

線量計は9.999μSv/hを示したまま全く動きませんでした。

相馬市松川浦

津波被害を受けた相馬港周辺。流されずに残った建物はごくわずかで、あちこちに建物の土台だけが残っている。

宮城県亘理郡山元町

山下駅は駅舎もなく、昔の駅の姿を想像することができません。駅の向いにある商店では震災時の写真が展示されています。駅の周辺には未だに瓦礫が高く積みあがったままのところもありました。

名取市閖上

数多くの住宅が津波によって流され、辺り一面、視界を遮るものは何もありません。土台だけがひっそリと残っています。

津波に流されずに残った建物がぽつんぽつんとありますが大きな被害を受けています。

かつて住宅が立ち並んでいたはずのこの場所ですが、2年経った今でも殺風景のままで住宅地の面影もありません。

水門には3月11日にこの地を襲った津波の到達点を示す青いプレートが褐げられています。見上げる程の高さで押し寄せた津波の恐怖は計り知れません。


道路脇の住宅は跡形もなくなった


かろうじて流されずに残った建物も大きな被害を受けている


残ったのは土台だけ


想像を絶する津波の高さを物語っている


寂しげに残されたバイク


計り知れない津波の威力

多くの犠牲者を慰める塔婆や地蔵

道の駅「南相馬」にて…

南相馬市を訪れた3月23日は、南相馬市小高区を案内してくださった「日本リウマチ友の会」の会員さんのお母様が道の駅で作品展を開催していました。

全て本物の草花を使った押し花の絵で20作品くらい展示していましたが、震災前の美しいふるさとがここにしっかり残っていました。

まさに癒しのひととき、やすらぎの世界でした。

ページ最上部へ