川柳・俳句・短歌

短歌

「つなみ」とは桑田佳祐歌う歌
悪魔となりて国食いちぎる

巨大なる地震と津波の爪痕に
無念の涙絶えずにじみぬ

緑萌え穏やかに座す安達太良も
否応なしに放射能浴ぶ

目に見えぬ恐怖と不安じわじわと
大地をうみを永久に蝕む

喉渇くほどの悪夢を逃れんと
目を開きても闇は逃れず

朝市で太りし秋刀魚送りしと
電話の声の明るさ戻る

被災地を支援せんとのコンサート
白寿の拍手清らかなりし

避難所で情けを受けし子らの目に
地元を興す力漲る

安達太良の山麓駅に降り立てば
天上天下あきつの世なり

泣き交わしブイの字飛行の白鳥の
冬の雫を我が家に降らし

【名前】
柳沼友治 (やぎぬまともじ)
【年齢】
61歳
【病名】
多発性硬化症
【所属】
MS虹の会
【被災時の居住地】
福島県郡山市
【被災場所】
福島県郡山市

またひとり確認されし名の載りし
新聞読む立場は同じ

【名前】
大和田幹雄(おおわだみきお)
【病名】
多発性硬化症
【所属】
岩手県難病・疾病団体連絡協議会
多発硬化症友の会

アナログの手探り続く被災地ふくしま
我が病身を重ね願う平安

【ペンネーム】
アナログ時計
【年齢】
27歳
【病名】
シルバーラッセル症候群
【所属】
シルバーラッセル症候群ネットワーク
【被災時の居住地】
福島県県南地方
【被災場所】
自宅


photo by アナログ時計

俳句・川柳

白鳥の飛び立つ順を決めし夜

拘りの土を母とし種を蒔く

置き去りの牛の絶叫花の冷え

初ツバメ瓦礫の山を飛びかいぬ

少年期白つめ草の野の匂い

古民家の土間ひんやりと炎暑かな

落雷や五臓六腑の収縮す

尺玉の花火の音の闇揺する

新涼や箒目残る寺の庭

眠られぬ身を預けけり虫時雨

芋の露宇宙を丸治めけり

手作りの柚子おしげなく湯に浮かす

柏手の響く境内歳新た

マスクせし美しき目に見つめらる

【名前】
柳沼友治 (やぎぬまともじ)
【年齢】
61歳
【病名】
多発性硬化症
【所属】
MS虹の会
【被災時の居住地】
福島県郡山市
【被災場所】
福島県郡山市

体育の日の賑ひも日暮れけり

もってます皆何かをもっている

【名前】
大和田幹雄(おおわだみきお)
【病名】
多発性硬化症
【所属】
岩手県難病・疾病団体連絡協議会
多発硬化症友の会

稲穂垂る野末は暮れて津波の地

新米の味かみしめて生を知る

車椅子顔、かお、つらがそばにいる

つまみ食いされて進まぬ支援かな

【名前】
小保内多喜子(おぼないたきこ)
【年齢】
71歳
【所属】
宮城県看護協会

遠くから声啖れるまで頑張って

【名前】
柳谷益弘 (やなぎやますひろ)
【年齢】
70歳


2013年3月24日 南相馬市小高区。大津波でゆがんだカメラ。(「福島」を肌で感じるツアー)

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